月読|つきよみ 第四篇

第四篇|朧月|おぼろづき
瞑想
見えないものは、なくなったのでしょうか。
今日、月は見えません。
空を覆う雲の向こうにも、そして新月を迎えた空にも、
いつものような月の輪郭はありません。
けれど、
月そのものが消えてしまったわけではない。
ただ、
見えなくなっている。
今日は、そんなところから始めてみたいと思います。
第四曲「朧月」に込めたものは、
瞑想。
第一篇では、
感受。
まだ言葉にならないものを受け取ることから始まりました。
第二篇では、
浄化。
心に残っていた引っかかりをほどき、本来の流れへ還っていく。
そして第三篇、
共時。
余白が生まれたことで、
離れていた出来事の間に小さなつながりが見え始めました。
けれど、
共時性に気づいたあと、
私たちはもう一度静かな場所へ戻る必要があるのかもしれません。
見つけたものを追いかけるのではなく、
すぐに意味を決めるのでもなく、
ただ、
静かに置いておく。
瞑想とは、
何も考えないことではないと私は思っています。
思考を無理に止めることでも、
頭の中を真っ白にすることでもありません。
浮かんでくるものを、
そのまま通していく。
ひとつの考えが現れる。
消えていく。
別の感情が現れる。
また消えていく。
それを捕まえず、
拒まず、
ただ眺めている。
すると、
いつも自分だと思っていたものの輪郭が、
少しずつ曖昧になっていきます。
私たちは普段、
たくさんの輪郭の中で生きています。
これは好き。
これは嫌い。
これは正しい。
これは間違っている。
こうしたい。
こうならなければならない。
自分はこういう人間だ。
それらは、
生きていくために必要なものでもあります。
けれど、
時にはその輪郭そのものが、
自分を狭い場所へ閉じ込めてしまうことがあります。
そんなとき、
少しだけ輪郭を緩めてみる。
答えを出さない。
決めない。
追わない。
ただ、
そこにいる。
それだけで、
見えてくるものがあります。
朧月という言葉には、
月の輪郭が霞み、
はっきりとは見えない姿があります。
鮮明ではない。
境界が曖昧になる。
けれど、
だからこそ生まれる美しさがある。
何もかもがはっきり見える必要はない。
すべてに名前をつける必要もない。
すぐに理解できなくてもいい。
わからないまま、そこにいる。
それもまた、
ひとつの在り方なのだと思います。
今日の新月は、
そのことをとても静かに教えてくれます。
2026年9月11日。
月は12時27分に新月を迎えました。
月はそこにある。
けれど、
私たちには見えない。
しかも今夜は、空そのものも雲に覆われています。
二重に、
月が隠れている夜。
けれど不思議なことに、
見えないからこそ、
月の存在をいつもより強く意識することがあります。
これは、
心にも似ています。
普段は見えているものばかりを追いかけています。
目の前の出来事。
誰かの言葉。
結果。
数字。
答え。
けれど、
目に見えるものをいったん閉じてみると、
その奥にあるものへ意識が向かい始める。
呼吸。
身体。
静けさ。
言葉になる前の感覚。
自分でもまだ名前をつけていない何か。
そこには、
外側を見ているときには聞こえなかった小さな響きがあります。
月輪|つきのわの音も、
そのように聴いていただけたらと思います。
何かを得るためでも、
何かを変えるためでもなく、
ただ、
音の中にいる。
一音が現れ、
消える。
また次の音が現れ、
静かに消えていく。
その余白まで含めて、
聴く。
答えを探さない。
効果を測らない。
ただ、
少しだけ目を閉じてみる。
すると、
音を聴いているのか、
静けさを聴いているのか、
その境界さえわからなくなる瞬間があります。
もしかすると、
瞑想とは、
そこへ向かうことなのかもしれません。
自分をなくすのではなく、
自分を囲んでいた輪郭をほんの少し緩めること。
見えていたものを手放し、
まだ見えないもののために場所を空けること。
感受し、
浄化し、
共時を受け取り、
そして、
静けさへ戻る。
今日、
月読は新月へ辿り着きました。
ここは終わりではありません。
むしろ、
光がもう一度生まれる前の、
最も静かな地点。
月はこれから、
また少しずつ光を取り戻していきます。
そして次に現れるものは、
大きな光ではありません。
ほんのわずかな、
小さな兆し。
次の月は、
月暈|幸運。
暗闇の中に現れる小さな光を、
今度は見つめていきます。
04|朧月|おぼろづき
瞑想
輪郭がほどけるほどに、意識は静かに深い場所へ沈んでゆく。
見えないものへ耳を澄ませるとき、内側にひとつの静けさが生まれはじめる。
「月輪を迎える」
九つの響き
どこから聴いてもいい。
ひとつだけでもいい。
目を閉じ、音と音のあいだにある静けさまで。
月輪|つきのわ「九つの響き|全曲プレビュー」



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