フラクタス・ハルモニア™|設計の断片03

03|ここでしか、響かない音。
ここまで二回にわたり、
フラクタス・ハルモニア™についてほんの少しだけ、その設計の内側をお話ししてきました。
最初に置いたのは、
2160
というひとつの数字。
月の直径。
正立方体。
2160Hz。
そして、その先にある
音の設計。
音の高さ。
音と音との関係。
比率。
さらに、
Pitch|音高Pulse|時間
聞こえている音の背後には、聞こえていない構造があります。
けれど、
どれほど美しい構造があっても、
どれほど数の関係が整っていても、
それだけでは音楽にはなりません。
最後に残る問いは、
とてもシンプルです。
それは、実際にどう響くのか。
フラクタス・ハルモニア™をつくる中で、
私たちが最後まで確かめてきたのも、結局はそこでした。
数として美しいこと。
構造として成立していること。
そして、
耳で聴いたときにも美しい響きとして存在できること。
その三つが重なる場所。
理論だけが正しくても、音として心地よくなければ意味がない。
反対に、
ただ心地よいだけで、その背後に構造がなければ、
それはフラクタス・ハルモニア™とは少し違うものになります。
理論と感覚。
数と響き。
設計と体験。
そのどちらか一方ではなく、
両方が重なった場所に、フラクタス・ハルモニア™の音があります。
だから私たちは、
この理論を信じてほしいとは思っていません。
2160という数字に特別な力があると信じる必要もありません。
数式を理解する必要もない。
比率を覚える必要もない。
むしろ、
何も知らずに聴いてもいい。
数字を忘れてもいい。
構造を意識しなくてもいい。
まず、
音を聴いてほしい。
そこに何を感じるのか。
静けさなのか。
広がりなのか。
身体がほどけていくような感覚なのか。
あるいは、
言葉にはできない何か別のものなのか。
それは、
聴いた人の中にしか生まれないものです。
私たちが決めることではありません。
けれど、
ひとつだけ確かなことがあります。
その響きは、
偶然に選ばれた音の集合ではありません。
フラクタス・ハルモニア™というひとつの設計思想から導かれ、
実際の作品としてひとつずつ形にされています。
それは、
一般的な調律の中から偶然見つけるものではありません。
どこかにすでに存在していた音をそのまま持ってきたものでもありません。
フラクタス・ハルモニア™という構造を通して、
ここで生まれた音です。
そして、
フラクタス・ハルモニア™として設計されたその響きを作品として体験できる場所が、
ファンクショナル・サウンド™です。
月輪|つきのわも、
そのひとつ。
2160という入口から始まり、
幾何へ。
比率へ。
音高へ。
時間へ。
そして、
最後にはひとつの響きへ。
数字だったものが、
設計になり、
設計だったものが、
音になる。
その音が空間へ放たれ、
誰かの耳へ届いたとき、
初めて理論は体験へと変わります。
そこから先は、
設計者のものではありません。
聴いた人の中で、
その音がどのように響くのか。
どんな感覚を残すのか。
どんな時間をつくるのか。
それぞれの体験が始まります。
私たちがフラクタス・ハルモニア™のすべてを公開していないのにも、
理由があります。
隠すことそのものが目的なのではありません。
設計図を先にすべて説明してしまえば、
音を聴く前から、
頭の中に答えができてしまうからです。
けれど、
音は本来、
答えを知ってから聴くものではありません。
まず、
響く。
そして、
何かを感じる。
そのあとで、
「なぜだろう」
と思えばいい。
フラクタス・ハルモニア™も、
そうありたいと考えています。
理論より先に、
体験がある。
説明より先に、
響きがある。
そして、
響きを受け取ったあとで初めて、
その背後に設計があったことを知る。
だから、
この三回でお話ししたことも、
まだ設計のほんの一部です。
2160。
音高。
時間。
比率。
その先には、
まだ言葉にしていない構造があります。
けれど、
設計図を知らなくても、
その結果はすでに音として聴くことができます。
それが、
フラクタス・ハルモニア™のいちばん大切なところなのかもしれません。
理論は、
紙の上に置かれるためにつくられたものではない。
響くためにある。
そして、
その響きは今、
ファンクショナル・サウンド™の作品の中にあります。
どこにでもある音ではない。
何かに似せてつくられた音でもない。
ひとつの設計から生まれ、
ひとつの世界として形になった音。
ここでしか、響かない音。
フラクタス・ハルモニア™。
その答えは、
設計図の中ではなく、
最後には、
音の中にあります。
「月輪を迎える」
九つの響き
理論の先にある響きを、実際の音で。
月輪|つきのわ「九つの響き|全曲プレビュー」



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