
シークレット・アイランドの魅力は大自然のサウンドだけではありません。シークレット・アイランドの数ある魅力の中でも、私が特に魅了されているのが海中の世界です。シークレット・アイランドには信じられないほどに美しいラグーンが広がっています。
ラグーン(英語:lagoon)とは、砂州やサンゴ礁により外海から隔てられた水深の浅い水域のことを指します。
シークレット・アイランドは、世界中のダイバーたちが憧れるほど、数多くの美しいポイントに恵まれています。少しシュノーケリングしているだけでも魚たちに囲まれ、イソギンチャクが群生してクマノミが隠れているような光景に出会います。海の中が好きな方はお解りになると思いますが、これは本当に美しいクリスタル・クリアの海である何よりの証拠です。
この美しい海中の世界は、この旅の愉しみのひとつです。
私は総じて「重装備」が嫌いです。大げさなゴーグルやシュノーケリングセット、酸素ボンベやウェットスーツなど、もう準備の段階で面倒で仕方ないと感じてしまいます。だから、シークレットアイランドで泳ぐときは「水泳用の水中メガネ」ひとつで気ままに入ります。その方が、心の底から自由であると感じるのです。
特に、人気のないシークレットポイントで泳ぐときは、特別な時間になります。人が居ない分、何かあったときには助けすら呼ぶことすら出来ないという緊張感も手伝って、世俗から完全に切り離された特別な世界に入り込めるのです。
ひとたび海の中に入ると、長いときで2~3時間にも及ぶことがあります。その間はずっと海の中で過ごします。それだけ長く泳いで疲れないのか?と良く疑問に思われます。
実際には、山道を歩くよりも海の中のほうがずっと楽です。
まず、プールと海とでは浮力が違いますし、一生懸命スピードを出すような泳ぎ方をしなければ、もはや息が切れるようなこともありません。それは、もはや泳ぐという感覚ではなく、リラックスして全身の力を抜いて休みながら、海中を漂っているようなイメージです。20m以上という抜群の透明度の高さも手伝い、深いところでは空を飛んでいるような錯覚を覚えることすらあります。
素潜りでは、最高で約10メートルくらいまでは到達することができるとおもいます。ダイバーたちがアクセスするようなスポットにゴーグルひとつで泳いでいたりするので、彼らには完全に現地の人間だと思われていることでしょう。
この方法で海の中で過ごすと、長時間に渡って強制的に、息を吸い込んで、ゆっくりと吐く…という一種の呼吸法をすることになります。実は、これが強い変性意識をもたらします。海から上がってしばらくの間は、ボーッとしてしまうほど、心穏やかでとても心地よい状態です。
シークレット・アイランドは、ジンベイザメがよく見られることでも有名です。勿論、フル装備でダビングすれば、ジンベイザメに遭遇するような壮大な世界が待っていることは理解していますが、ゴーグルひとつでも素晴らしい光景に出会うことがあります。
HEAVENLYの際にも、たくさんの素晴らしい光景に出会いました。
ボートでしかアクセスできないようなシークレットポイントを回っているときに、チャーターしたボートの運転手が「many many fish!」と片言の英語で言うので、あまり期待せずに勧められるままに海に入ってみました。
そこで、まさに無数の魚群に遭遇しました。

この写真はフリー画像で私が撮影したものではありませんが、これ以上の数だった言えば想像がつくことでしょう。海に入った瞬間、海の底が見えない程に埋め尽くされた魚群が目に飛び込んできて、これには興奮しました。
まさに見渡す限り魚たちの絨毯のようで、その群れのうねりを見ていると酔ってしまう程でした。潜って魚群に突進すると群れの中にポッカリと穴が空きます。見渡す限り、無数の魚たちの目がこちらを向いているなかで泳ぐのは、本当に不思議な感覚でした。
また、お気に入りのシュノーケリング・スポットでは、立派なウミガメにも遭遇して、素晴らしい時間を過ごすことができました。

私が手足を広げたよりも大きかったと記憶しています。背中にコバンザメを2匹従えて、ゆっくりと海藻を食べていました。「…何だ、お前は?」と言わんばかりにチラチラとこちらの気配を伺いながらも、そばで見ていることを許してくれているようでした。
明らかに、それまで出会ってきた魚たちとは違っていて、ウミガメからは高い意識を感じました。何度も目が合いましたが、何事もないかのように私を放っておいてくれていました。そこには明らかに、意識の疎通があったように思えて仕方ありません。
食事をしながら、ウミガメは2〜3分毎に呼吸のため海面に顔を出しに浮上します。「ブハーッ」という大きな音をたてて、まるで巨躯の男性のようなドスの効いた呼吸音です。その姿が最高に愛らしく、思わず笑ってしまいました。
その後、食事を終えると、ゆったりと優雅に泳ぎ去って行きました。その姿が、本当に美しく思い出に残っています。
このような、世俗から完全に切り離された特別な世界に入り込める時間は、私達の日常にも新たな視点を与えてくれます。それはまるで、新しい何かが起きるサインのようです。いつでも心に余裕をもって、新しい世界に目を輝かせている子供達のように、フレッシュな視点で世界を愉しみましょう。
本当に惜しいと思わざるを得ないのは、このように素晴らしい海の中の世界では、バイノーラル・レコーディングができないという点です。
それでも、いつかは海の中の世界を共感覚的にサウンドで表現できればと思っています。いつになるかはわかりませんが、完成したその時には、VIP会員様の特典としてリリースしたいと思います。
世俗から完全に切り離された特別な世界に入り込める時間。願わくば、このFS™ HEAVENLYが、皆様にそのような時間を提供できるよう心からお祈り致します。
Written by "I"
Photo by FS™️ Team